ECサイトの売上を伸ばしたいなら、まずは土台を見直そう!

「運営するECサイトの売り上げを伸ばしたい!」と考えるとき、最初に思い付くことはなんでしょうか。「競合他社を調べよう」「コンサルティングを依頼してみようか」「サイトの見た目をもっとよくして集客できないか」など、さまざまな施策を思い浮かべますよね。
実はそういった売り上げを伸ばす“攻め”の施策と同じくらい重要で、見直すべき「土台」があるのをご存じでしょうか。
その土台とは何なのか、解説していきます。
1.売り上げアップのための準備
売り上げアップの準備、つまり「土台」とはどういうことでしょうか? ECサイトの売上は「アクセス数 × 購入率 × 客単価」で構成されます。
これを支えるための土台には、主に以下の5つが考えられます。
1.商品・サービスの土台
魅力的で差別化された商品をそろえ、十分な在庫と正確で分かりやすい商品情報を整備する。
2.集客の土台
検索流入を意識したSEO対策、SNSやメルマガでの顧客接点、効果を測れる広告運用の基盤を整える。
3.分析・計測の土台
アクセス解析やタグを整備し、売り上げやCVRなど明確なKPIを設定して改善に生かす。
4.運営体制の土台
顧客対応を迅速に行い、データを基に改善サイクルを回せる体制と役割分担を確立する。
5.サイトの土台(UX)
表示速度やスマホ対応などの使いやすさを確保し、安心して購入できるサイト体験を提供する。
これら5つの土台は、いずれも「売上アップ」に直結する「攻めの土台」です。しかし、どれだけ攻めの施策を整えても、その効果を支える「守り」がなければ安定した成長は望めません。
ここからは、その攻めを支える「守りの土台=セキュリティ」について見ていきましょう。
2.売り上げを伸ばす前に、「守る」ことが必要な理由
もしセキュリティにまつわるトラブルが起きてしまったら一体どうなるのか……。ここから目をそらす人も多いですが、詳しく見ていきましょう。
1.サイト停止・アカウントの不正利用は一瞬で売り上げを失う
ECサイトが停止すれば、その間に本来得られたはずの売り上げはゼロになってしまいます。また、アカウントの不正利用や決済トラブルが発生すれば、顧客対応に追われるだけでなく、今後の利用を控えられる可能性も高まります。
2.トラブル対応にはときに多大なコストがかかる
セキュリティにまつわるトラブルが発生すると、データの復旧やシステムの改修などの費用がかかります。個人情報が流出した場合には、補償も必要になることがあります。
実際にセキュリティの被害に遭ったことで被害対応のコストが想定以上にかかり、事業の継続自体が不可能となり、サイト閉鎖になったケースもあります。
3.信頼を失えば顧客は戻ってこない
顧客は「このサイトは大丈夫だろう」という信頼を前提に購入しています。そのため、一度でもセキュリティにまつわるトラブルが起これば、トラブル対応が終わったとしても、顧客からの信頼は大きく揺らぎ、顧客は離れていくことになります。失った信頼を取り戻すのは容易ではありませんので、長期的な売り上げの低下を招きます。
4.風評被害は新規顧客獲得も難しくする
ニュースやネットで情報漏洩やアカウントの不正利用などが起きたという情報が拡散されると、それにより既存の顧客離れはもちろん、新規顧客も来なくなります。ECサイトにおいて、セキュリティにまつわるネガティブな情報は長く残り、新規顧客が「このサイトはやめておこう」と判断するきっかけになってしまいます。
売り上げを伸ばしたいのに、新規獲得の入り口を狭める結果になってしまうのです。
このように、セキュリティは売上を支える「見えない基盤」といえます。攻めと守り、どちらか一方ではなく「両立」が成長の鍵となるのです。
3.セキュリティ対策ってどんなものがあるの?
ここまで、売り上げを伸ばすためにはまず「守り」が欠かせないことをお伝えしてきました。では実際に、ECサイトを守るためのセキュリティ対策にはどのようなものがあるのでしょうか。
1.基本的な技術的対策
- SSL/TLSの導入:通信を暗号化し、顧客の個人情報や決済情報を保護する
- システム更新と保守:システムやプラグインを常に最新の状態に保つ
- 不正アクセス対策:WAF(Web Application Firewall)の導入や多要素認証の活用
2.運用面での対策
- アカウント管理の徹底:権限の適切な設定や不要アカウントの削除
- バックアップ体制:障害時にすぐ復旧できるように準備する
- 定期的な監視:アクセスログやエラーログを点検し、不正の兆候を早期に発見する
3.専門家による外部診断
- セキュリティ診断:第三者が疑似攻撃を行い、潜在的な脆弱性を洗い出す
- ペネトレーションテスト:実際の攻撃を想定したテストでリスクを把握する
このように、ECサイトを安全に運営するための対策には、技術的なものから運用面、外部の専門家による診断まで幅広くあります。一見すると「費用がかかりそう」と思われるかもしれませんが、これらの取り組みは損失を防ぐための投資です。実際に一度トラブルが発生すれば、売り上げの減少や対応コスト、信頼喪失に伴う損害の方がはるかに大きくなる可能性があります。
4.セキュリティ診断という選択肢
いつ誰に起きるか分からないセキュリティにまつわるトラブルから、ECサイトを守るためにさまざまな対策がある中で、効果が大きいにも関わらずコスト面から避けられがちなものが「セキュリティ診断」です。
セキュリティ診断は以下の点から、非常におすすめです。
1.リスクを「見える化」できる
セキュリティ診断とは、サイトに潜む脆弱性やリスクを専門家が洗い出し、改善につなげる仕組みです。「どんなリスクを抱えているのか」「自分のサイトに脆弱性(セキュリティの弱い部分)があるか」といった現状を見える化できるのが最大の強みです。見えない不安を把握し、早い段階で対策できれば、致命的なトラブルを未然に防ぐことができます。
2.対策の優先度を判断して対応できる
脆弱性を見える化することで、どんな対策をすると良いのか社内で検討することができます。また、報告書には脆弱性の危険度も書かれているので、優先的に対応した方が良いかの判断も可能です。
3.公的機関が定めるガイドラインで必須要件になっている
実際、経済産業省が公開している「ECサイト構築・運用セキュリティガイドライン」でも、脆弱性診断(セキュリティ診断)の実施は具体的な要件として挙げられています(経済産業省:セキュリティ対策要件及び具体的な実践内容/ECサイトの構築時におけるセキュリティ対策要件一覧の要件3、ECサイトの運用時におけるセキュリティ対策要件一覧の要件2)。
また、セキュリティベンダー各社もその重要性を繰り返し訴えており、業界全体としても「診断を受けるのは当たり前」という流れになりつつあります。
参考:
- 経済産業省:「ECサイト構築・運用セキュリティガイドライン」を公開しました
- ハイブリッドWebセキュリティ診断「ABURIDA」:84ページもある「ECサイト構築・運用セキュリティガイドライン」の中身をざっくりと紹介!
セキュリティ診断は、単にリスクを洗い出すだけではありません。
- 現状を見える化して不安要素を排除する
- 対策の優先度を判断して対応できる
- 公的機関が定めるガイドラインで必須要件になっている
という点で、売り上げを守るための有効な選択肢となります。
まとめ:売り上げアップは「守ること」から始まる
本記事では、ECサイトを成長させるために欠かせない「土台づくり」について解説しました。攻めの施策に取り組む前に、その効果を支える「守る仕組み」が必要であること、情報漏洩や不正利用、サイト停止といったセキュリティトラブルが売り上げだけでなく企業の信頼や事業の存続にまで影響することをお伝えしました。また、専門家による診断など具体的なセキュリティ対策を挙げ、現状の見える化と不安要素の排除が攻めの施策を生かす土台となることをご説明しました。
重要なのは「今は大丈夫」ではなく、「将来も安定して売り上げを伸ばし続けられるか」という視点を持つことです。売り上げアップを本気で目指すのであれば、まず守りを固めることから始めませんか。
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