【Web脆弱性診断/内製化への道】#2 うちの会社は当てはまる? 四つの観点で見る内製化向きの企業とは?

シェア ツイート

Web脆弱性診断の内製化を検討すべき企業は、どのような企業なのでしょうか。四つの観点から整理してみました。

Web脆弱性診断/内製化への道シリーズ

  1. 押さえておきたい「実施モデル」と成功のための5つの鍵
  2. うちの会社は当てはまる? 四つの観点で見る内製化向きの企業とは? ← 本記事

こんな場合は内製化① コストを削減したい

診断はやはり費用がかかりますので、まずは一番気になる費用の観点から見ていきます。

  • 多数のWebアプリケーションを運営している企業
    多くのWebアプリケーション(特に外部公開しているもの)を運営しており、かつ継続的に改修・運用している企業は、診断回数が増えるにつれて外部委託のための診断費用が膨大になります。内製化により、長期的に見れば診断1回当たりのコストを大幅に削減できる可能性が高いとされます。
  • 新規リリース・大規模改修が頻繁な企業
    月に1回以上、あるいは週に複数回の新規リリースや機能追加・大規模改修が行われる場合、その都度外部委託の診断を行うとコストが膨大になります。内製化であれば、これらの診断費用を抑制できます。
  • 年間セキュリティ予算が一定規模以上確保できる企業
    内製化には、初期のツール導入費用(数十万円〜数百万円以上)、人材育成費用、担当者の人件費といった固定費が発生します。これらを吸収できる予算規模がある企業が検討に適しています。

こんな場合は内製化② 開発スピードを落とさずにセキュリティを確保したい

開発体制や運用スピードの観点から見ていきます。

  • アジャイル開発やDevOps、CI/CD※を推進している企業
    開発と運用のサイクルが短く、従来のウォーターフォール型のような数カ月に一度の外部委託による診断では、セキュリティが開発スピードのボトルネックになります。内製化により、開発プロセスにセキュリティチェックを組み込むことで、迅速なフィードバックと手戻りの削減が可能です。

    ※CI/CD:開発の効率化と品質向上を目的に、開発からテスト、リリースまでを自動化する仕組み
  • リリース頻度が高い企業
    月に数回、あるいは日に数回のデプロイがあるなど、リリースサイクルが極めて短い企業は、外部委託診断のリードタイムが許容できません。内製化によるツール診断の導入が不可欠です。

こんな場合は内製化③ セキュリティの知見を社内に蓄積し、組織全体のセキュリティレベルを向上させたい

セキュリティ体制とガバナンスの観点から見ていきます。

  • セキュリティを経営リスクとして捉え、自社で統制を強化したい企業
    外部任せではなく、自社のセキュリティレベルを自社でコントロールし、積極的に改善していく姿勢を持つ企業。
  • セキュリティに関するノウハウを社内に蓄積したい企業
    診断結果を基に開発者へのフィードバックや教育を行い、セキュアコーディングの文化を醸成したいと考えている企業。
  • 専門のセキュリティ組織(CSIRT/PSIRTなど)を強化したい企業
    セキュリティインシデント対応だけでなく、プロアクティブな脆弱性管理を行い、組織全体のセキュリティ成熟度を高めたい企業。
  • 脆弱性に関する情報共有と修正プロセスを迅速化したい企業
    外部委託による診断の報告書が開発チームに届くまで時間がかかったり、報告内容の解釈に食い違いが生じたりする課題を抱えている企業。

こんな場合は内製化④ 自社のリスク管理をより強固にしたい

セキュリティリスクとコンプライアンスの観点から見ていきます。

  • 取り扱うデータの機密性が高い企業
    個人情報、決済情報、機密性の高い情報をWebアプリケーションで取り扱う企業は、セキュリティインシデント発生時の影響が甚大です。内製化により、継続的かつ深いレベルでのセキュリティチェックが可能になります。
  • 特定の規制や業界基準(PCI DSS、GDPRなど)への対応が求められる企業
    これらの要件には継続的なセキュリティ管理や、特定の種類の診断が義務付けられている場合があります。内製化と外部委託を組み合わせたハイブリッドモデルが有効となることが多いです。

まとめ

Web脆弱性診断の内製化は、単に「コストを削減したい」というだけでなく、「開発スピードを落とさずにセキュリティを確保したい」「セキュリティの知見を社内に蓄積し、組織全体のセキュリティレベルを向上させたい」「自社のリスク管理をより強固にしたい」といった戦略的な目標を持つ企業にとって、特に検討すべき価値のある選択肢といえます。

そして、自社のWebアプリケーションの数、更新頻度、開発体制、セキュリティへの考え方、予算を総合的に考慮し、内製化が最適な解決策となるかを判断することが重要です。

ライター/ふぁんふぁん

愛犬をめで、楽器と戯れ、おいしいものにかぶりつく日常を送りつつ、信興テクノミストのハイブリッドWebセキュリティ診断「ABURIDA®️」のカスタマーサポートとして縁の下の力持ちになるべく修行中。

シェア ツイート

カテゴリー

キーワード

人気の記事